2021Fallのアメリカ大学院5校に出願して,見事全不合格通知を受領したアラサー社会人です,こんにちは.
私は脳の研究で東大修士(情報理工学)を修了しており,現在はソフトウェアエンジニアとして働いています.
生体の能力×ソフトウェア,といった分野で面白い研究をしている,と思える先生を見つけたので,その先生周りのラボがある大学院に応募してみましたが,ダメでした.
自分が準備をする段階で,社会人向けの留学記事がそこまで多いように感じなかったのもあり,将来誰かが参考にするかもしれないと思うし,自分の軌跡として残しておきたいと考えたのでブログに残すことにしました.
結論から申し上げると,私の不合格の要因はコネとカネの不足が主だと考えており,家族がいる中で,そこをカバーするリスクを取るモチベーションは現在ないです.故に再チャレンジするつもりはありません.
留学に必要な準備についてツラツラ書いていきます.
- 0.出願書類
- 1.TOEFL
- 2.GRE
- 3.成績表
- 4.CVまたはResume
- 5.SoP
- 6.Personal Statement History
- 7.推薦状
- 8.奨学金
- 9.合否結果
- 10.合格するには何が必要だと思うか
- 11.今後どうするか
0.出願書類
アメリカ大学院の出願するにあたって下記について準備する必要があります.
- TOEFL
- GRE
- 大学/大学院時代の成績表
- CVまたはResume
- SoP
- Personal Statement HistoryやDiversityをどのように促進できるかという主張
- 推薦状(3通)
- 奨学金の有無
各大学で細かい違いはありますが,大体こんなものでした.
各項目について記載していきます.
1.TOEFL
理系ならば100点超えれば良いと思われます.
ただし,Rutgers大のように各セクションで最低点を設定している大学もありますし,
各セクションの最低点を超えないとお金の補助が完全に出ないところもあります.
私は100点は超えましたが,Speakingが21点でしたので,もう少し頑張るべきだったと思いました.最低点のみしかサーベイしていなかったのはサーベイ不足でした.
2.GRE
GREは今回はコロナの影響もあり,要求してくるところがほとんどありませんでした.
ただし,私の出願校には必要としてくるところがありましたので,受験しました.
GREについては私はVerbal149点,Quantitative169点,Writing3.5点だったので,大口は叩けません.
Verval155点,Quantitative170点,Writing4.0点あれば安心だと思います.
が,理系だとQuantitativeの点数しか見ないとおっしゃっている先生がいますし,コロナ関係なく考慮しない大学も増えていますので,頑張りすぎるのはコスパが悪いと思います(とはいえ,高ければ高いほど良いと思います).
2-1.Verbal
VerbalについてはWatanabeさんの記事が最強でした.とにかく単語です.
私はここまでできなかったのと,語彙力を増して挑んだGRE Home Editionにおいて,途中で部屋の映し直しを要求されて時間が無くなってしまったのが要因で,149点から上げることができませんでした.
単語の勉強は私にとって非常に苦痛でした.何故かというと,巷にある単語帳は英語のものしかなく(=日本語訳の記載がない),かつアルファベット順に書いてあるからです.
更に私は単語帳で覚える作業が非常に苦手なので,困っていましたが,iKnowに課金したことで解決しました.
これはGRE向けの英単語が日本語で勉強できる唯一の教材ではないかと思います.しかも忘却曲線に沿ってゲーム感覚でできるので私には合っていました.
iknow.jpしかしながら,iKnowのGRE対策のコースだけこなしても単語量が全然足りませんので,Watanabeさんのおっしゃるとおり,SATやGMATの単語も覚える必要があったと考えています.
2-2.Quantitative
日本の数学教育をきちんと受けて入れば,対策なしで165点は取れると思います.
しかしながら,165点から上げようと思うと注意が必要かと思いました.
というのも巷にあるQuantitativeの対策本や公式本には,165点を取るのに必要な問題しか載っていないからです.
私は2回受けて,こういった問題解くのに時間かかったなーという問題の対策をしたことで,169点になりました.
対策本のQuantitativeの問題も解きましたが,全部悩まずにすぐ解けてしまったので,あまり効果が無かったと思います.
165-170点を取るための問題は数Ⅲの知識が必要だったように思うので,教育系Youtuberの大学入試数学解説を眺めていると解けると思います.
2-3.Writing
WritingはVerbalで覚えた難しい単語を使った文章を書いたら点数が3.0→3.5に上がりました.あまり時間を割いた対策ができなかったので,どうすれば4.0点になるかの道筋も良く分からないのが正直なところです.
3.成績表
大学/大学院の成績表が全て求められます.
また,専門科目の教科書が何で,成績がどうだったかを記載する欄があります.
海外の大学は少ない講義を分厚い教科書に基づいてみっちりやる形のようなので,こういった記載欄になっていると思われます.
が,日本はたくさんの講義を講義オリジナルの教材に基づいてやることが多いと思いますので,記載するのが大変でした(教材を思い出せないものもありました・・・).
更に,私は東大理科一類のときの成績が最悪で,なんとGPAは3.0を下回っていました(笑).
これだけ成績が悪いとSoP(後述)で成績が悪い言い訳を書かないといけません.
つまり,文章量が限られているSoPで,言い訳に文章を割かないといけないので不利になります.
私は,
①工学部の成績はGPA3.5程度で,修士のGPAは4.0なので,成績は改善していること.
②First Generation(両親が大卒でない)で,かつ母子家庭育ちであったため,金銭面をカバーするためにバイトをする必要があって授業を抜けないといけなかったこと.
③金銭的に厳しかった証拠に,大学/大学院の授業料は毎年免除されていたこと.
といった言い訳を書きました.
成績表はもう一度大学に入りなおす以外に直す方法がないので,過去の自分がきちんとしていなければどうしようもないです.
4.CVまたはResume
日本でいう履歴書です.
書式が特に決まっている訳ではないので,教授や留学生の方々のCVを参考に適当に書きました.
意外と時間がかかりました.
海外レジュメの書き方,といった本を何冊か買いましたが,情報が古いものが多く,正直役に立ちませんでした.
私は
・査読付き論文(日本語,筆頭著者)1本
・査読付き論文(英語,共著(修論をドクターの方が投稿))1本
・査読付き国際学会発表(英語,共著)2回
・国際学会発表(アメリカ,筆頭著者)1回
・国際学会発表(アメリカ,共著)1回
・国内学会発表(日本語,筆頭著者)2回
・国内学会発表(日本語,共著)5回
の実績がありましたので,全て載せました.
日本語論文の引用の仕方は下記を参照しました.
所謂一流紙には載せられていないので,高い評価にはならないと思いますが,
実績の量としてはそれなりにあると思います.
また,仕事での経験の要約や,持っている資格,奨学金返済免除になっていること,経験のあるクラウドサービスなど,アピールになりそうなことは全て書きました.
5.SoP
大学院で何を学びたいかを書く場です.
一番参考になったのはXPlaneさんのSoPの書き方講座でした.
動詞の使い方や,何を書くべきかを体系的に教えていただいたと思います.
あとはこのあたりの本が参考になりました.
Essay Edgeで添削にもかけまして,思いつかないようなかっこいい表現を入れてもらったりもしました.
また,行きたいラボの先生やポスドクの方にメールすると書くネタが増えるので,良いと思われます.
どうして社会人からアカデミアに戻ろうと思うのか,学生時代の研究成果,社会人での成果,成績が悪い言い訳,大学院でどう役に立てるか,などを書きました.
6.Personal Statement History
アメリカは多様性を重んじている国ですので,自分がいかに多様性に貢献できるかを書きます.
求められる大学と求められない大学があります.
こちらは特に書き方講座といったものが見つけられなかったので,ネットでググってでてきたものを参考にしました.
私はFirst Generation(両親が大卒でない)で日本の田舎で母子家庭で育ったこと,幼少期でどういった経験をしたか,Super Science High Schoolでの経験,母校で大学院の研究の講演を行ったことなどを書きました.
First Generationであるかどうかを書く欄があるあたり,アメリカの格差社会は激しいのだと感じました.
7.推薦状
推薦状は3通求められて,よく自分を知る人に書いてもらえと言われます.
私は
・指導教員
・共同研究者
・上司
の3人に書いていただきました.
修了してから時間が経っているのに皆さん快く応じてくださったので,非常に感謝しております.
私は当時海外大学院にアプライすることを全く考えていませんでしたが,
今振り返ると海外大学院にアプライするなら,アメリカ大でPh.Dを取得した人や,
短期留学などを利用して海外の先生とコネを作る必要があったと考えています.
ここも自分が歩んできた人生なので,小手先でどうにかなるものではありません.
8.奨学金
アメリカの博士課程は金が出ますが,自分で資金を獲得する人のほうが好ましいので,奨学金を持った状態でアプライすると合格率が上がります.
また,奨学金を持っていると好きなテーマをやりやすいらしいです.
しかしながら,日本で用意されている奨学金は年齢制限があるのがほとんどであり,かつ大学に属していないと応募できないものも相当数あります.
30を超えた社会人が応募できて,大学院合格前に合否が分かり,アピールに使える奨学金は船井奨学金しかありません.
ただし,そもそも船井奨学金に受かる人は皆さんサイヤ人級の能力があるのですが,
社会人となるとスーパーサイヤ人級の能力が求められるような感触があります.
幸運にも,船井奨学金主管の益田先生とやり取りする機会がありましたが,
「社会人を断るわけではないが,やはりより有望な若い人に奨学金は与えたい」
といったお話をされていたので,社会人で合格するハードルはより高いと思われます.
私は奨学金も全て受かりませんでした.
真っ直ぐ研究者を目指す人にしか奨学金は用意されないように思います.
とはいえ,船井奨学金応募に必要な書類を用意すると,それがそのままSoPを考える際に役に立つので,前哨戦だと考えて本気で取り組むと後が楽になると思います.
9.合否結果
学際的な分野に,先生を基準にアプライしたので,アプライした専攻はバラバラなのですが,
以下の日程で不合格通知が来ました.
・Stanford→1/16
・MIT→2/17
・Princeton→2/19
・NYU→3/18
・UCI→3/26
NYUとUCIは少しは選考に残れたような日程なのかな,という気がします.
実際は分かりませんが.
10.合格するには何が必要だと思うか
アメリカの先生の推薦状とカネが自分に一番足りない部分だと考えています.
アメリカの先生の推薦状を獲得するためには,修士課程に入って,そこで研究する手段があると思います.
が,修士課程でお金は出ないので,アメリカの生活を自費で賄う必要があります.
これは1年で保険や家賃等含めると1000万程度はかかりそうで,かつ私には家族がいますし,実家が太いわけではないので,非常に取りにくい選択肢です.
社会人から海外大学院に進まれた方は会社を辞めて受験に全振りしている印象があり,皆さんすごいと思います.
お金については,日本で奨学金は取れないと思われるので,会社の役に立つ共同研究を立ち上げて会社に金を出してもらう,などが考えられますが,これはかなり狭き門だと思われます.
あとは有名大でないところにアプライすることが考えられますが,私は研究者になりたいわけではなかったので,これは選択しませんでした.
結局良い職に就ける人は,良い大学の良いラボで良い論文を書いた人になる雰囲気があり,一流企業側も知ってるラボの人がアプライしてきたら話聞いてみようとなる確率が高いようですので,基本的に有名大に受からないと社会人から進路変更した場合の投資回収として回収できるのかよくわからなかったためです.
11.今後どうするか
海外大学院は厳しいということがアプライしてみて実感できましたので,別の人生の道を模索します.
ここまで英語を勉強したので,今の職場でも英語は使いますが,より英語を使う環境に行ってみたい気持ちがあります.
もうすぐ家族が増えますので,しばらくはそちらに注力します.